その時、若者たちが、道路の向かい側からホースを伸ばしてきました。 消防車のホースではありませんが、直径6cmくらいの太さで威力がありそうです。 悪い予感がしたので、お立ち台から降りようとしました。 周囲の若者たちは“Don’t worry.”と言いながら、私が降りようとするのを 笑顔で阻止します。 でも、ホースを持っている青年が、お立ち台の上の私たちを狙おうとしているのは明らか です。 「ファラン女性(白人女性)を狙っているのだ」と無理に思い込もうとしましたが、顔が引きつっているのが自分でわかります。
突然、音楽がスローな曲に変わり、ホースの先からシャワーがお立ち台の上に降り注ぎま した。 その時、私の身体は、かなり乾いていました。 かなり暑いと感じていました。 その火照った身体には、シャワーの水が気持ちいいです。 今になって“Don’t worry.”の意味が理解できました。 私は、シャワーで、頭、顔、首筋、服の胸元の順で洗いました。 ついでに、手のひらに水をためて、うがいまでしました。 大勢の人に見つめられたまま、うがいをするのは初めてです。 気持ちよかったです。
先ほど冷たい視線を送ったのが少し恥ずかしかったのと、感謝の気持ちをこめて、ホース でシャワーをかけてくれている青年に、両手を振って思いっきりの笑顔を向けました。 周りからは、歓声が上がりました。 するとホースの青年は、水をピンポイントにして、私の胸を狙ってきました。 Hな攻撃です。 水量がかなり多く、水圧も強く、かなりの衝撃です。 これも初めての体験です。 足を開いて踏ん張ったのですが、バランスを崩してお立ち台から落ちそうになりました。
ホースの青年が済まなそうにするので、“No problem ! ”と許してあげました。 お立ち台の上から見ると、カオサン通りの通行は路上ディスコの場所で完全に塞がっています。 再び音楽が変わり一段落したようで、拍手と歓声に包まれながら、お立ち台を降りまし た。 夏が好きさんが撮影している場所に向かおうとしましたが、途中で白い粉を持った青少年 たちにつかまってしまいました。 最初は笑顔を作っていたのですが、目、鼻、口に粉が入り、苦しさでしゃがみこんでしま いました。
咳き込んでいると、夏が好きさんが駆けつけ、オープンテラスのバーに逃げこませてくれ ました。 水で頭と顔を洗い、ジュースを飲んで休憩すると、再び元気になりました。 オープンテラスからは、先ほど上がったお立ち台も見渡せます。 今は踊りの上手なダンサーだけが、お立ち台で踊っています。 「ミナさんの人気は凄いですね。 カオサン通りは、ミナさん1人だけでは危険すぎます。」と夏が好きさんが言います。 帰りも夏が好きさんの背中に顔をうずめて、カオサン通りから脱出しました。
カオサン通りは大混雑でしたが、痴漢はいなかったと思います。 胸やお尻を故意に触ったりはなかったようです。 あまりにも混雑しているので、腰やお尻に何かがぶつかることはありました。 でも、日本の通勤電車よりは安全だと思います。 民主記念塔の前から、トゥクトゥクでホテルに戻ると、辺りは暗くなっていました。
部屋に帰ると、アイも戻っていました。 シャワーを浴び終えると、注文していたオーダーメードの民族衣装がちょうど届いていました。生地はタイシルクを選びました。 私は、黄色とピンクと紫の3着作りました。 着てみると、どれも身体にピッタリです。 「濡れても絶対に透けないこと」という条件を念押しして、注文しました。 店員は「絶対、大丈夫です。」と自信満々に答えていました。
仕立てあがった衣装は生地が薄いため、「濡れたら透けてしまわないか」少し不安になります。 「黄色が月曜日の色」と聞いていたので、黄色の衣装を選びました。 アイも、仕立てあがりの紺色の民族衣装を着ました。 民族衣装姿でホテルのレストランで夕食を食べましたが、ウェイトレスからタイ語で話し かけられました。 ウェイトレスは、私たちが日本人だとわかるとビックリしていました。
食後、タニヤのカラオケに行きました。 ホテルの裏口から外に出ると、タニヤです。 外は夜でも気温が高いですが、涼しげな民族衣装を着ていると暑く感じません。 タニヤの路上では、水かけが盛んです。 アイが「濡れたくない」と言うので、水をかけられないように注意して歩道を歩きまし た。 無事に(?)濡れることなく、カラオケ屋に到着しました。 私たちと同じような格好の店員ホステスが出てきて、タイ語でしゃべってきます。 客だと思っていないようです。 “We want to sing.”と言うと、やっと理解してもらえました。 最初から日本語で話せば、もっと早く理解してもらえたのですが…(笑) タニヤ通りは別名ソイイープン(日本人通り)と呼ばれ、日本語が通じるのです。ラーメン、お寿司などの日本食レストランも沢山あります。
客は私たちだけだったので、アイと交代で日本のポップスを歌いました。 しばらくすると、びしょ濡れの4人の日本人男性客が入ってきました。 私が「Real Emotion」という曲を歌っている時に、日本人客の1人がアルコール臭い息を吐きながら、私に抱きついてきました。 店員が引き離してくれましたが、その客は逃げる私を追いかけてきます。 私をその店のホステスと間違えたらしいのですが、そういった客と一緒だと不愉快なので、個室に案内してもらいました。
個室では、再び気分良く歌えました。 1時間ほど歌って店を出ると、タニヤの路上では水かけが最高潮に達しています。 トゥクトゥクに乗った若者たちが、楽しそうに馬鹿騒ぎしています。 あまりにも楽しそうなので、私も急にトゥクトゥクに乗りたくなりました。 アイに「一緒にトゥクトゥクに乗ろう!」と誘うと、予想外の誘いだったようで、目を見開いて私の顔を見つめています。 アイの顔には「マジッ!?」と書いてあるので、「マジだよ。 さあ、乗りに行こう!」とアイの腕を引っ張りました。
以上 文章提供 投手ミナさん 赤や青などの色づけ 編集 写真 テツロウ
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