ソンクラーン ミナンクラーン 冒険編 その21

ミナ
冒険編
その2 その3 その4 その5 その6 その7 その8 その9 その10
その11 その12 その13 その14 その15 その16 その17 その18 その19 その20
その21 最終回
番外 ソンクラーン美術館 予行演習 本編
ユキの国内
ずぶ濡れ修行
着衣泳T 着衣泳U 着衣泳V
幼稚園
阿波
ゾーブ遊び
主な登場人物
私--元ソフトボール女性投手ミナ 父の転勤で転校を繰り返したために、たくさんの種類の高校時代の制服を保有している。民族衣装のプリンセス。水かけ天使。

夏が好き---40代日本人カメラマン。大阪在住。巨漢。今回は非常なる災難に遭った。

白人男性---タイ人美女たちに水をかけまくった。逃げるからかけるのか、美しいからかけるのか、この祭りでは、こういった行為も許されてしまう。タイは寛大な国だと思う。


タキシード男性たちがいなくなって、私たちのトゥクトゥクはやっと若者たちから解放されました。前の車が走り去っていたので、スラウォン通りとの交差点までノンストップで進みました。スラウォン通りも渋滞していて、左折した辺りではオカマちゃんが大集合していました。夏が好きさんがオカマたちに襲われて、お腹を撫でられたりの大もてだったので、苦笑いしている夏が好きさんを私がビデオで撮影してあげました。

私が撮影し始めると、オカマたちが「撮って!撮って!」と催促します。撮影を楽しもうと思ったら、すぐにビデオカメラのバッテリーが切れてしまいました。夏が好きさんはトゥクトゥクを道端に停車させて、私をトゥクトゥクに乗せたまま、建物の陰の奥の方に隠れてバッテリーを交換しました。しばらくして、男性の叫び声がして周辺が大騒ぎになりました。胸騒ぎがして通路の奥に向かうと、夏が好きさんが倒れていました。

バッテリーの交換中に水をかけられて感電したようです。夏が好きさんの上半身を起こして顔を覗き込むと、幸いにも意識を取り戻しました。バッテリーを直接持っていなかったために、命が助かったようです。でも、ビデオカメラは作動しなくなりました。夏が好きさんはショックで落ちこみながらも、「ミナさん、ミナさんのホテルまで送っていきましょうか?」と言ってくれました。でも、夏が好きさんにさらに詳しく尋ねると、夏が好きさんのホテルに予備のビデオカメラが準備されていることが判明しました。





「もう少し遊びたい」と2人の意見が一致したので、夏が好きさんのホテルにトゥクトゥクで向かいました。ホテルの玄関に着くとガードマンたちが笑顔で集まってきましたが、夏が好きさんの深夜の御帰還の同伴者が私だと気づいて、彼らは気まずそうな雰囲気になり、一言も私たちに話しかけてきません。私をその場に残したままで夏が好きさんがホテルの中に消えると、深夜なのに10人近くの男性従業員たちが集まってきて、私に話しかけてきました。

私と夏が好きさんとの関係がとても気になるようで「彼は何者か?」とか、いろいろ質問されました。夏が好きさんはすぐに戻って来て「寒くないですか?」と言いながら私に乾いたタオルを差し出して、再び部屋に戻りました。時間があるようなので洗面所を借りましたが、私が出てくるまで従業員たちが洗面所の前でじっと待ってくれていました。私がトゥクトゥクに戻ると、美しい器に入った花弁の浮いた水を彼らは順番に少しずつ私の掌にかけてくれました。

従業員だけでなくトゥクトゥクの運転手までもが、良い香りの水を私にかけてワイ(合掌)してくれました。夏が好きさんが戻ってきたので「ありがとうございます。」と言いながら湿ったタオルを返すと、夏が好きさんは「このタオルを一生の宝物にします。」と言って、タオルをフロントに預けました。再びトゥクトゥクで深夜のバンコクの街を走りましたが、パッポン周辺以外の道路はガラガラでした。運転手が安全運転してくれたので、私たちを追いかけてくる車も暴走せずに併走できたため、まったく危険や恐怖を感じませんでした。周囲のピックアップトラックなどから程よく水が飛んで来て、暑くもなく寒くもなく、とても快適に水かけ(水かけられ)を楽しめました。





再びパッポン地区に入ると、深夜営業の店の営業終了時間帯だったのでしょうか?店から濡れていない人たちが続々と通りへ出てきて、深夜なのに意外に大混雑していました。白系統の薄い生地の衣装を着たセクシー系の女性もチラホラ現われ、その中にはずぶ濡れにされて透け透けになってしまった女性もいました。いったん濡れてしまうと開き直って、その超セクシーな格好のまま大騒ぎしたりと、周囲の男性たちも大喜びでバカ騒ぎを繰り返していました。

タ二ヤ地区でも営業終了時間帯だったようで、濡れていない人たちも通りへ出てきていました。そういった人たちをゆっくりとじっくりと観察するために、私たちはトゥクトゥクを降りました。絶対に濡れたくない人たちは、電話呼び出しで、タクシーに店の近くまで迎えに来てもらい、店の玄関のドアの隙間から周辺の様子を覗って「大丈夫だ」と判断すれば、タクシーのドアまで全力で走るのです。しかし、そうした“濡れたくない人たち”を血祭りにあげることに熱中する人たちもいます。

特にファラン(白人)男性には、他人が困るのを喜ぶ“よろしくない人たち”が多いです。空車のタクシーがやって来ると、停車したタクシーの周辺で獲物が店から飛び出してくるのを待ち伏せしたりします。一般的に日本人は“濡れたくない民族”のようです。日本人女性の多くは、水濡れ厳禁のブランド物のバッグを持ち歩いています。日本人男性は、革靴や革製ベルトや財布以外は濡れても困らないと思うのですが、やはり濡れるのが嫌いなようです。

地元のタイの人たちは、日本人観光客が消費するお金のおこぼれに期待しているので、“濡れるのが嫌いな日本人”には水をかけません。ファラン男性も、男性や年配の日本人女性には興味を示しません。本来安全なはずなのに、自分が狙われていると意識過剰になり、勝手に慌てて転倒して水たまりで泥まみれになってしまった日本人を数人見かけました。自滅して泥まみれになった日本人を見て、地元の人たちは呆れて笑っていました。





ファラン男性のターゲットは、濡れたらダメになるような豪華な衣装を着た美女たちです。このファラン男性たちと美女たちとの鬼ごっこのようなゲームは、見ていて飽きませんでした。濡れたくない美女たちは本気なので、いろいろな手段を使って脱出に成功します。しかし時々、ファラン男性の餌食になってしまった可哀想な女性もいました。タクシーに無事に乗りこんだのに、ドアを開けられて氷水でずぶ濡れにされた美女2人組が、最も印象的でした。後でタクシーの弁償問題にならなかったのでしょうか?他人の出来事ながら、心配してしまいます。

歓楽街での水かけを満喫しながら、夏が好きさんにホテルまで徒歩で送ってもらいました。別れ際、夏が好きさんのバッグの底に穴が開いていることに気づきました。感電事件の際に、バッテリーの放電の熱で焦げてしまったようです。その穴から撮影済みのフィルムが落ちて、ほとんど紛失してしまいました。ビデオカメラや撮影済みフィルムなど、夏が好きさんは大損害なのですが、「普通では絶対に経験できない事件も体験できて、とても楽しかったです。ありがとうございました。」と言ってくれました。

「おやすみなさい。本当に今日はどうもありがとうございました。また明日の朝、アイと一緒に夏が好きさんのホテルに行きます。」と私は挨拶しました。すると「明日の早朝帰国なので、明日はもう会えません。」と夏が好きさんは残念そうに返事しました。別れて部屋に帰ると、目を覚ましたアイに「こんな真夜中まで遊んでいたの…?」と呆れ顔をされてしまいました(笑)


文章提供 投手ミナ   編集 テツロウ



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