ソンクラーン ミナンクラーン 冒険編 その19

ミナ
冒険編
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その21 最終回
番外 ソンクラーン美術館 予行演習 本編
ユキの国内
ずぶ濡れ修行
着衣泳T 着衣泳U 着衣泳V
幼稚園
阿波
ゾーブ遊び
主な登場人物

私--元ソフトボール女性投手ミナ
 父の転勤で転校を繰り返したために、たくさんの種類の高校時代の制服を保有している。 コスプレ派  

夏が好き---40代日本人カメラマン。大阪在住。ローマの休日ではないが、つかの間、フリーとなったプリンセスのミナさんと再会。大掛かりな撮影と相成った。他の美女には目もくれず、ミナさんからレンズを片時もそらさないロバート=キャパのようなこだわりを今回見せた。キャパとは、あの人間の頭部を弾丸が貫通した瞬間を写真に残した伝説の戦場カメラマン。腕は超一流なので、説明不要。

ギャラリーの若者たち---ミナに魅せられた人々。彼女を日本の女優だと思っていた人もいたと思われる。

「ミナさんは、どこへ行くのですかあ?」と夏が好きさんが叫んだので、その声に応えるように手を振りました。すると、夏が好きさんの前の群集の壁が割れて、夏が好きさん1人だけ通れるようになりました。「ミナさん、こんな真夜中に大勢のギャラリーを引き連れて、どこへ行くのですか?」と言いながら、夏が好きさんが私の前に現われました。夏が好きさんは、私の姿を見て驚きました。

「ひょっ、ひょっとして、ミナさんは濡れていないのですか?」と声が震えています。
私は「全然、濡れていないんですよ。」と言いながら、1回転しました。
「夏が好きさんは、濡れていない衣装が濡れるのを見るのが好きなんでしょう?」と言うと、夏が好きさんは「ボ、ボクのために…?」と言いながら、肩を震わせて何度も自分の顔をつねっています。
「夢じゃないですよね?」と言うので、ホッペタを軽くつねってあげました。夏が好きさんはかなり感動したようで、しばらく夢中で私を撮影していました。

一段落すると「ミナさん、今後の予定は…?」と尋ねられました。
「トゥクトゥクに乗りたくなったんです。」と私が正直に答えると、夏が好きさんは「はあ?」と不思議そうです。
「昨日、カオサンへの行き帰りに一緒に乗りませんでした?」と尋ねられました。
私は「今晩、アイとヤンさん夫妻と一緒にスパへ行ったんです。帰りに車で送ってもらったのですが、トゥクトゥクに乗って楽しそうにしている若者たちを見かけて、私もまた乗りたくなったのです。
私と一緒に乗るのは、イヤですか?」と尋ねられていないことまでしゃべってしまいました。

夏が好きさんは「とんでもない。光栄です。でも、この衣装はシルク製でしょう?濡れてもいいのですか?」と気を遣ってくれます。私が「ソンクラ−ンでしょう。当然、濡れる覚悟はできていますよ。」と答えると、「それはそうですね。わかりました。じゃあ、すぐに乗りますか?」と夏が好きさんは辺りを見回しましたが、車道に空車のトゥクトゥクは見当たりません。

私が「濡れる最初の瞬間がお好きなのでしょう?どういったシチュエイションがいいですか?夏が好きさんが最初に水をかけてもいいですよ。」と提案すると、「光栄です。自分の手で、1番最初にミナさんに水をかけるのは最高の喜びですが、地元の若者たちの自然な行動も撮ってみたいし、贅沢な選択ですね。
ミナさんには自然に歩道を歩いてもらって、地元の若者たちから水をかけられてください。」と夏が好きさんは答えました。「じゃあ、これからは水かけの申しこみを断りません。」と返事しました。

シーロム通りをホテルの方向へ歩きました。夏が好きさんと合流する前は、周りの群集は若い男性ばかりでしたが、今は若い女性たちも私たちを見物しています。現在の方が周囲は大混雑ですが、私の前方を夏が好きさんが私を撮影しながら進んで行きます。ギャラリーの若者たちは、夏が好きさんをカメラマンと認識しており、夏が好きさんが進む方向の人たちが自主的に進路を空けています。ギャラリーの若者たちは、私たちを日本のテレビ局の撮影隊だと認識しているのかもしれません。

夏が好きさんに先導されて、大混雑するシーロム通りの歩道を優雅に歩けて、大女優になったかのような快感を感じました。周囲のギャラリーには綺麗な美しい女性も多いのに、夏が好きさんは私だけを撮影しています。私は「ミナだけを撮影しなくてもいいですよ。周りにも美しい女性がいるので、撮ってあげてください。我慢しなくていいです。」と夏が好きさんに言いました。

すると夏が好きさんは「ミナさんにレンズを向けていない時に水をかけられると後悔するので、周囲の女性にレンズを向けての撮影はできません。でも、周囲の女性たちも、ギャラリーとして一緒に写りこんでいますよ。」と答えました。10分ほど歩くと、先ほどのコンビニに到着しました。まだ営業しています。夏が好きさんは「僕が最初にミナさんに水をかけさせてもらいますわ。」と宣言し、「ミナさん、喉は乾きませんか?」と尋ねるので「私はいいです。」と答えました。

「水は冷たくてもいいですか?」との質問には「ほどほどがいいです。」と答えました。
夏が好きさんは、なんと1.5Lの飲料水を買いました。
「先に一口どうです?」と勧められたので、一口だけ飲んでみましたが、程よく冷えていておいしかったです。でも、かけられるのには冷たそうです(笑)。夏が好きさんは「間接キスですね」と言って、嬉しそうにゴクゴク音をたてながら、おいしそうに一気に飲み干してしまいました。みるみる夏が好きさんのお腹が膨らみました(笑)。

「喉が乾いていたので、全部飲んでしまいました。」と言って、頭を掻いています。
結局、夏が好きさんはもう1本室温の飲料水を買いました。夏が好きさんは露店や通行に邪魔にならない場所を見つけて、三脚を組みたてて、歩道の一段高くなった場所に私を立たせました。手を放しても、ビデオカメラで私を撮影できるようにセットしました。周囲のギャラリーの若者たちも、興味深そうに眺めています。夏が好きさんは「僭越ながら、僕が最初にかけさせてもらいます。」と言って、私にワイ(合掌)しました。
ギャラリー最前列の若者たちも半数ほどが、夏が好きさんの真似をして私にワイするので、私も夏が好きさんに微笑みながらワイを返しました。

夏が好きさんはしゃがみこんで、最初に裾の辺りに水をかけました。ギャラリーの最前列の若者が「今、水をかけたよ」と後方に伝えたのでしょうか?ギャラリーの後方から、ブーイングが起こりました。夏が好きさんは気がつかないようなので、私が教えてあげました。夏が好きさんは立ち上がり、私の左肩に優しく水をかけました。周囲のギャラリーから拍手と歓声が上がりました。

「ミナさんからオーラが出ています。ミナさんの身体は、水を弾いてまったく濡れません。ミナさんの身体をバリアが包んでいます。女神のようです。」と夏が好きさんは、感動しています。この衣装をオーダーした時に「ソンクラ−ン期間中に街で着る」と伝えていたので、撥水効果を特に強くしてあるのでしょう。私の身体が水を弾いているのではなく、衣装が水を弾いているだけです。夏が好きさんは1本分すべてかけ終わり、再び私にワイしました。ギャラリーから拍手がパラパラと起こりました。

私は一段高い所に立っているので、周囲も見渡せて気持ちがいいです。ギャラリーの人たちと目が合うと、ワイしてくれます。私も微笑んでワイを返すと、嬉しそうです。先ほどまでは、ギャラリーは私を取り巻いていただけでしたが、ギャラリーとは別に3列の行列ができました。手に水鉄砲やらコップやら白い粉の入った皿を持った人たちが、意外にも自主的に並びました。列の先頭になった人たちが、私に丁寧にワイをした後、優しく水をかけてくれます。かけ終わった後、再びワイをして、整然と去っていきます。

私も最初はワイされるごとに、ワイを返していました。しかし、連続して次々にワイされるので、手はずっと合掌したままになってしまいました。仏像のように手のひらを合わせた姿勢で、ワイしてくれる人に微笑み返したり、頷いたりを繰り返しました。白い粉を塗ろうとする人たちの立ち位置も私よりも低いので、私が微笑んで少しかがんで顔を前方に出してあげると、とても塗りやすくなり、頬からあご先にかけてのベストの位置にだけ塗られました。粉が目に入ることもなく、快適でした。

並んでいた全員がかけ終わり、一段落しました。濡れる前は高揚していた気分も落ち着き、平常心に戻りました。すがすがしい気分です。夏が好きさんは「ミナさんは、濡れる前よりまた一段と美しくなりました。神々しい光が、身体から滲み出ています。衣装も濡れる前よりも色が濃くなりましたが、均一に変色したため、衣装だけを見るとまったく濡れていないように錯覚してしまいます。本当に不思議な魅力でいっぱいです。地元の人たちは生き仏だと思っているのではないですか?」と言います。なるほど、周りの人たちは私と目が合うと合掌してくれます。

私は、一昨年のチェンマイのソンクラ−ンのパレードの光景を思い出しました。パレードの先頭を歩くチェンマイ知事や高僧たちを敬った市民たちの姿が、今私の周囲にいる人たちの姿とダブって思い出されます。
理由は不明ですが、周囲の人たちが私を敬ってくれていることは間違いありません。ひょっとしたら、私を有名な女優さんと勘違いしているのかもしれません。

どうであれ、私の気分は最高です。


    以上 文章提供 投手ミナ            編集 テツロウ



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