ソンクラーン ミナンクラーン 冒険編 その10

ミナ
冒険編
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その11 その12 その13 その14 その15 その16 その17 その18 その19 その20
その21 最終回
番外 ソンクラーン美術館 予行演習 本編
ユキの国内
ずぶ濡れ修行
着衣泳T 着衣泳U 着衣泳V
幼稚園
阿波
ゾーブ遊び
主な登場人物

私--ミナ 元ソフトボール怪腕女性投手
 父の転勤で転校を繰り返したために、たくさんの種類の高校時代の制服を保有している コスプレ派 
アイ---ミナさんの女友達、23才OL 事情を把握しておらず、ミナと呼吸が合わなかった。

ヤン---中国人楊。バンコク定住。流ちょうな日本語を話す。今回はトゥクトゥクで夜風を切って暗躍した。
ヤンの奥さん---ヤンの日本人妻。カラオケ好き。


すると、アイは私の手を振り払って「乗りたくない。」と返事しました。 仕方なく、ホテルまでアイを濡らさないように守りながら、戻りました。 アイを濡らさないように注意しただけですが、私も無事に(?)濡れませんでした。 24階のプールサイドのテラス席からホテル周囲を見下ろしながら、「トゥクトゥクに 2人で一緒に乗ろう」とアイに説得を続けました。 「アイと2人ならば、夜にトゥクトゥクに乗っても安全だろう」と考えたからです。

アイは「トゥクトゥクに乗っても、水をかけられて、粉を塗られて、汚されるだけでしょう?」と言います。 やはり、アイを説得するのは無理なようです。 その時、アイが「ヤンさんじゃない?」とタニヤ通りを指差します。 ヤンさんが圧縮型水鉄砲を使って通りで水かけしているのが見えました。 「ヤンさんで間違いない」と答えて振り返ると、アイはそこにいませんでした。 不吉な予感がしたので後を追いかけると、アイはロビーで公衆電話をかけています。 私はアイに駆け寄り、会話を聞きました。 悪い予感は当たっていました。 アイはヤンさんの携帯電話を呼び出していました。

「『ミナがどうしてもトゥクトゥクに乗りたい』と言って、私を困らせるんです」とアイが笑顔でしゃべっています。 「昨夜のヤンさんとの出来事」をアイにまだ話していません。 だから「昨夜、私がヤンさんに誘われたが断った」という事実を、アイはまだ知りませ ん。,,,,,, もう最悪です,,,,,,, アイは、ホテルの裏口玄関前を待ち合わせ場所に指定しました。 慌てて部屋に戻り、カーデガンを2枚持って、1階の裏口に向かいました。 裏口へ向かう途中で、アイに昨夜の出来事の概略を説明し、「頼むから、アイも一緒に トゥクトゥクに乗って」と哀願しました。 私たちが裏口に着くと、ちょうどヤンさんがやって来ました。 ヤンさんは上機嫌です。

「こんばんは。 お誘いを受けて、光栄です。 アイさんも一緒に乗りますか?」とヤンさんが言ったので、私も「アイも一緒に乗ろう!」と誘いました。 アイは私から事情を聞いてしまったので、先ほどまでの明るさが消えています。 アイはしばらくためらった後、「悪いけど、2人で行ってきて」と言いました。 「アイの分のカーデガンも用意してるのよ」と私が最後の誘いをしても、「ごめん」と謝ります。 気まずい雰囲気になってしまいました。

でもよく考えてみると、アイもヤンさんも「ミナのわがままをかなえてあげよう」と善意 で行動してくれているのです。 すべては、私のわがままが原因です。 ここで気まずいままで断ったら、アイにもヤンさんにも失礼です。 私は気持ちを切り換えて、「どちらのカーデガンが、この衣装に合いますか?」と明るく2人に言いました。 意外にも、紫色のカーデガンが黄色の民族衣装に合うようです。 もう1つのカーデガンをアイに預けて、ヤンさんと歩いて出発しました。

タニヤでは、水かけが最高潮です。 歩道を歩いている人で濡れていないのは、私だけです。 高校生くらいの少年が、圧縮タイプの水鉄砲を構えて、微笑みながら近づいてきました。 笑顔を絶やさずしゃべりかけてきますが、タイ語なので私にはまったく理解できません。 私は濡れる覚悟をとっくに済ませている(笑)ので、思いっきりニコッと微笑みながら、 小首をかしげました。 少年は、表情は遠慮勝ちながら、大胆にもカーデガンの胸のVゾーンを狙って、至近距離から思いっきり撃ちこみます。 最初に胸のVゾーンが狙われるのは、いつものことです。 服の上からなので、痛くも痒くもありません。 この瞬間を待っていました(笑)。

余裕の笑顔でもう一度頷きました。 それを合図に、私は地元の若者たちに取り囲まれて集中放水を受けました。 ヤンさんも群集に紛れて、私の胸やお尻に圧縮型水鉄砲を撃ちこんでいます。 幸いなことに水の攻撃だけだったのと、顔面を狙われなかったので、私は笑顔を絶やすことなく対応できました。 あっという間に、ずぶ濡れになりました。 衣装の透け具合を懸念していたのですが、腕に濡れた生地が貼りついているだけで、肝心な部分は大丈夫なようです。 攻撃が一段落した時に、4人組が私たちの前で下車し、トゥクトゥクが空車になりまし た。 さっそくヤンさんが交渉して、無事にトゥクトゥクに乗ることができました。

タニヤ通りからスラウォン通り、パッポン1通り、シーロム通り、タニヤ通りと左回りに 一周しました。 歩道やピックアップトラックからは水が飛んできますし、渋滞すると周囲から人が飛び出 してきて、水をかけられたり、白い粉を顔に塗られます。 もっと楽しいはずなのですが、無意識に警戒してしまうのでしょうか?心の底からは、楽しめません。 ヤンさんは「楽しいですか?」と尋ねます。 「楽しいです。」と答えましたが、少し違和感があります。 トゥクトゥクは、パッポンから離れました。

パッポン周辺以外は、道路は混雑していません。 私たちを乗せたトゥクトゥクは、空いている大通りを猛スピードで疾走します。 座席が完全にオープンなので、スピード感は半端じゃないです。 恐怖を感じます。 風が真正面から強く吹きつけるので、目を細めないと目が痛いです。 交差点では信号待ちです。 歩道の家族連れから、停車中ずっと、冷たい水を浴びせられました。 幼児だと油断していると、氷の破片を胸元から服の中に注ぎ込まれます。 身体のから、冷えてしまいました。

信号が青になりホッとしたのですが、再び猛スピードです。 強風が吹きつけ気化熱を奪われるので、とても寒いです。 思わずブルブルと震えてしまいました。 ヤンさんは「寒くないですか?」と言いながら、肩を抱いてきました。 「トゥクトゥクは、もう充分でしょう? 昨夜、お誘いしたSPAのVIPルームへ行きませんか? 今の時間ならば、営業中です。 ミナさんには、アロマテラピーマッサージがお勧めです。 気持ちいいですよ。」と熱心に誘います。

ヤンさんの行動が肩以上にエスカレートしそうじゃなかったのと、本当に寒かったので、 肩を振りほどくことはしませんでした。『奥さんとアイを誘って、明日4人一緒でSPAのVIPルームへ行きませんか?』と私は言いました。『絶対に、私が2人を説得します。 明日の晩に4人そろってVIPルームへ行きましょう。』 と私はヤンさんに精一杯のお願 いをしました。 ヤンさんを傷付けないように断るのは、この提案しか思い浮かばなかったのです。

「ミナさんは、私と2人きりでそういった場所へ行きたくないのですね。 ミナさんに僕の真意が理解してもらえず、残念です。」とヤンさんは、悲しそうな表情です。 「交換条件として、最後にカーデガンの下の民族衣装、その胸元の柄を確認させてください。 今日はそれだけで、僕は我慢します。」と、予想外にあっさりと(笑)了解してもらえま した。 先ほど氷水を浴びてずぶ濡れだったのですが、トゥクトゥクが猛スピードで走ってくれたおかげ(笑)で、上半身はすっかり乾いてしまいました。 今なら胸元も透けていないと思います。 カーデガンのボタンをはずそうとしました。 するとヤンさんは「まだ寒いでしょう。 最後でいいですよ。」と優しく制止しました。

そして運転手にタイ語で何やら指示しました。 トゥクトゥクは再びパッポン地区へ向かい、歩道の若者たちから再び大歓迎されました。 せっかく身体が乾いていたのですが、あっという間にずぶ濡れになりました。 パッポン地区では、渋滞でスピードを出せません。 適度な風なので寒くなく、快適です。 無事にホテルまで送ってもらえました。

私はトゥクトゥクから下りて、「ありがとうございました。 明日もよろしくお願いします。 おやすみなさい。」とヤンさんに挨拶しました。 ヤンさんは「忘れ物があります。」とニヤニヤしています。 水かけなので、ハンドバッグは部屋に置いてきています。 ポケットのお金を確認して、先ほどの約束を思い出しました。 「ヤンさんは『ずぶ濡れの胸元』を見たかったのだ」と理解できました。

約束どおりに、カーデガンを脱いで、胸元の柄をヤンさんにじっくりと見せてあげまし た。 ラマ4世通りに停車中の「追っかけピックアップトラック」の若者たちからは大歓声があがりましたが、ヤンさんは満足されたでしょうか? 部屋に上がり、シャワーもそこそこにヤンさんの奥さんに電話して、明晩の約束を取り付けました。


以上 文章提供 投手ミナさん  赤や青などの色づけ 編集 テツロウ



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