ソンクラーン ソンクラーン 冒険編 その1

ミナ
冒険編
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その21 最終回
番外 ソンクラーン美術館 予行演習 本編
ユキの国内
ずぶ濡れ修行
着衣泳T 着衣泳U 着衣泳V
幼稚園
阿波
ゾーブ遊び

水かけ祭りも終わった4月下旬、テツロウはタイ国にてねぐらに戻り、真っ先にシャワーを浴びた。体にこもった熱が冷たいシャワーで抜けてゆく。さっぱりした後は冷蔵庫から冷やしておいた虎の子のスイカを取り出した。シャリシャリと軽快な音を立てながら、南国タイでの安らぎの時が流れてゆく。

メールチェックをすると、なじみの名前があった。差出人はゴーゴータイとなっていた。それはこの水かけ祭りのコーナーで番外編を作るきっかけとなった女性からだった。早速読んでみたテツロウはその内容に思わず、持っていたスプーンを取り落としそうになっていた。幸いスイカのほうは大事そうにかかえていたので、無事だった。

メールには、番外編で大活躍した投手ミナさんが再度タイを訪ね、水かけ祭りに参加した様子が綴られていた。1度ならず、2度までも、、。やはり、ソンクラーン中毒になってしまったのかも知れない。メールには水かけ体験がみずみずしく綴られており、結婚を前提に、、もとい掲載を前提に体験談の続きの原稿をお願いすると、快くOKして下さいました。

よってここに本編、番外編に続き、『ソンクラーン ソンクラーン 冒険編』がスタートすることになりました。
語り手は前回番外編でも活躍した投手ミナさん、読者代表として再登場です。



2003年のソンクラ−ンは、本編「その6」で制服姿で水かけを楽しんでいる人たちが働くパンパシフィックホテルに宿泊することに決めました。
4月12日、私と友人のアイは、バンコク空港に降り立ちました。

アイは、カラオケが好きな23才のOLです。
「水をかけられるのは、イヤだ」と言っていましたが、カラオケや古式マッサージなどをえさにして強引に誘うと、渋々同行してくれることになりました。

空港には、楊(ヤン)さんが迎えにきてくれました。
ヤンさんは、タイで船会社を経営する日本語ペラペラの中国人で、ヤワラーに住んで10数年になります。
中国語、タイ語はもちろん、流麗な日本語を駆使し、毎年ソンクラ−ンに出陣しているベテラン戦士です。
空港からホテルまで、ヤンさんの乗用車に乗りました。

高速道路を降りて一般道路に入ると、ソンクラ−ンの水かけは始まっていました。
水を満載したドラム缶を積んだピックアップトラックなどが、街を行き交います。
外の空気を吸いたくなり、乗用車の窓をちょっと開けると、すかさず水が飛んできます。
ヤンさんは「ミナさんは大胆だなぁ。ちゃんと窓閉めといて」と言います。
ちょっとした隙間からでも車内をずぶ濡れにされるようです。





ホテルにチェックインしました。 部屋の窓からは、バンコク市街が見渡せます。 シーロム通りでは、きちんとした身なりの女性もたくさん歩いています。 ホテルのスタッフは「今日からソンクラ−ンの真っ最中」と言っていますが、街を歩くタ イの人たちからは、緊張感が伝わってきません。

一緒に来た友人のアイには「無礼講の水かけ祭り」と伝えていたので、彼女は「突然に水をかけられるので はないか」と身構えて、緊張して疲れたようです。 私はずぶ濡れになることを覚悟してタイに来ましたが、靴は濡れるとダメになります。 そこで、オシャレなサンダルを、私が露店に買いに行くことになりました。 日本から着てきたピンクの長袖ワンピースと白のパンプスで、出かけます。 「濡れずに無事に戻ってきたら、外で夕食を食べる」という約束をアイとしました。

夕方ですが、街に出るとさすがに暑いです。 顔や首筋に汗を感じます。 「さあ、水をかけて」という気分になります。 でも約束があるので、濡れないようにします。 通勤時間なのか、シーロム通りは、制服姿やスーツ姿の女性が多いです。 白のブラウス姿の女性もいます。 濡れると透け透けになりそうです。 地元の水かけ小僧は水鉄砲を持っていますが、そういった女性を狙わないようです。 濡れたくなければ、水かけ小僧と目を合わさないことです。 目が合うと、にこっと微笑んできます。 ここで微笑み返すと、通りすぎてから背中やお尻を狙ってきます。 手のひらを向けて、ストップの合図をすると、撃ってきません。

水かけ小僧たちの微笑みがとても自然で優しいので、どうしても微笑み返してしまいま す。 水で溶いた白い粉の入った容器を持った人たちも微笑みかけてきます。 私は粉が嫌いなので、手のひらを向けて「No.」と言います。 それでも、塗ってきます。 無理に拒否はしません。 塗りやすいように顔を向けると、優しく頬にすりすりしてきます。 ヒヤッとして、気持ちがいいです。 額や眉や前頭部に塗られると、汗や水で流れて目に入ります。 目に入ったら、痛くて目が開けられなくなります。
「とりあえず優しく柔らかく拒否してから、塗りやすいように顔を出す」のが、優しく塗 られるコツです。





こうやって無事に?、パッポン1通りに着きました。 露店がいっぱい出ています。 履き物の店も多いです。濡れてもよいオシャレなサンダルの品揃えは、日本よりもずっと上です。 おまけに値段も安いです。 何軒かで値段を聞いて、奥の小汚い店で買いました。 2足で300バーツ(850円)です。 急いでホテルに戻りました。 帰りも水鉄砲で撃たれましたが、すぐに乾きました。 アイは「大丈夫だったんだね」と言ってくれました。 鏡を見ると、頬からアゴの先と鼻の先が粉で真っ白です。 ワンピースはまったく汚れていません。 濡れた背中も乾いています。

約束通り、夕食を外で食べることになりました。 友達のゴーゴータイお勧めの韓国料理店「アリランハウス」に決めました。アイは水をかけられるのが初体験で、興奮しています。 「ドキドキする」と言いますが、本当に鼓動が早いです。 目が充血して、からだが震えています。 アイは会社にファンクラブがあるそうですが、わかる気がします。 「守ってあげないといけない」気分になります。

「外行くの、やめる?」と聞きましたが、「覚悟できたから行く」とのことです。 アイは、オレンジ色のワンピース姿です。 道中アイをかばったので、アイはまったく濡れませんでした。 私もちょっとしか濡れませんでした。 お店は、シーロム通りから1本入った「ソイ チャラワン(ソイ4)」の突き当たり右奥 にありました。 店先にはオシャレなテラス席がありましたが、暑かったので店内で食事しました。

私達が最初の客でした。 1時間ほどたつと、お客が増えてきました。 おしゃれをした若い女性客ばかりですが、ほとんどが濡れています。 外のテラス席に出てみました。 夜が更けて真っ暗になっていました。 店はソイの一番奥ですが、ソイの中ほどで人込みができています。





タイのユーロビートが大音量で流れてきます。 2年前にチェンマイで何度も聞いた曲なので、懐かしい気分になります。 身体が勝手に動いてくるあの独特のリズムです。 若者たちが、そのユーロビートにノッて踊っています。 まわりから観衆が、水をかけています。 集まっている人たちの半数以上が若い女性です。 店に入ってくるお客は、水かけしている人込みの中を貫けてくるため、濡れているのです。 スーツ姿やブラウス姿の女性も多いです。 濡れたくなければこの店に来なければ良いのですが、ずぶ濡れになっても平気で店に入ってきます。

店員も濡れているお客を、当然のように席に案内します。 店に入ってくるお客は大騒ぎです。 「ずぶ濡れー!!」とか言っているようですが、私には言葉が理解できません。 お互いの濡れ具合を比べて、大笑いしています。 みんなとても楽しそうです。 そういった人達に影響されたのだと思います。 それとも、ユーロビートのリズムに興奮したのでしょうか? 突然アイが「私も濡れたいかも…」と言い出しました。 「何か、身体の底からうずいてくるような感じ」らしいです。 私はアイが「濡れたくない!」と言い出すのではないかとハラハラしていました。 でも「濡れたい」のならば、話は早いです(笑) 早速、勘定を済ませ、人ごみに近づきました。


濡れていないのは、ワンピース姿の私たちだけです。私が先頭になり、アイをかばうように人込みを貫けました。 両側から水が飛んできて、上半身は下着まで濡れましたが、下半身はほとんど濡れません でした。 アイは上半身が半濡れといった感じです。 下着までは、濡れていないそうです。 シーロム通りに出て「この後、どうしたい?」と尋ねました。 このまま、ホテルに歩いて帰ると、部屋に着くまでに完全に乾きそうです。 シーロム通りの歩道には、まったく濡れていない人からずぶ濡れの人まで、さまざまな人 がいます。 車道は、ドラム缶を積んだピックアップトラックで渋滞しています。 みんなそれぞれ楽しそうです。

アイはしばらく悩んだ後「ミナはどうしたい?」と尋ねてきました。 「アイがホテルに帰りたかったら、送っていく。 ホテルに着いてから、考える」と答えました。 とりあえずホテルの方向に歩いていると、アイが「せっかくだから、水遊びがしたい」と 言い出しました。





露店で、「背負いタンク付きのシャワーのような水鉄砲(攻撃力は0)」を2つ購入しま した。 タンクに水を入れてもらい水鉄砲を構えると、先ほどまで遠巻きに様子を見ていた男の子 たちが私に殺到してきて、大喜びで水やら粉をかけてきます。 私は、男の子たちと目が合うと、にこっと微笑み「サワディーチャオ(チェンマイ弁でし た)」と言いました。 すると、「サワディークラップ」と嬉しそうに優しく水をかけてきます。 あっという間に、私はずぶ濡れの粉まみれになりました。 アイは、私の横でびっくりして、固まって見ていました。

「水鉄砲を持つのは『どうぞご自由に水をかけてください』という意味なのよ」と教えてあげました。
アイは「男の子たちに殺到されるのが怖い」と言うので、私が水鉄砲を2つとも抱えてホテルへ戻りました。 部屋に着いて「この後、どうしたい?」と尋ねると、街には行きたいようです。 アイの水鉄砲は部屋に置いといて、私だけが水鉄砲を持って、再び街へ出かけました。 当然のように、私は水と粉の標的になります。 びしょびしょ、ぬとぬと状態です。

それと対照的にアイは、綺麗なままで、乾いています。 突然「ちょっと暑いから、少し水をかけてくれる」とアイが頼んできました。 アイの手のひらに水をかけると「身体にかけて」と頼みます。 ちょっとビックリしましたが、優しく肩からシャワーにしてかけてあげました。 タニヤ通り、スリウォン通り、パッポン1、2通りなど、ぐるぐる歩いて回りました。

慣れてくると、アイも男の子たちから上手に水をかけられるようになってきました。 最初は引きつっていた微笑みもできるようになってきて、男の子の人気も上がってきました。 気がつくと、いつの間にか、アイもびしょ濡れになっていました。 そして「水をかけられるのが、楽しい」と言い出しました。 アイも立派な「水かけられ大好き人間」に成長しました。


以上 文章提供 投手ミナ   編集 テツロウ


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